借金返済のための不動産売却は税金に注意!?
世の中には住宅ローンだけではなくキャッシングや事業借り入れ、カーローンや税金などさまざまな支払いがあります。
支払いの滞納が続くと、債務者や行政からの強制執行による返済を求められることもあります。そして返済のために売却したとしてもその売却益には税金が課税されることがあります。
今回は「借金返済」を目的とした不動産の売却について、税金面での注意点のお話です。
身近な売却は本やCDのようにお店で買い取ってもらう事ですね。こういった買取では税金面での考慮はほとんど必要ありませんが、不動産の売却では金額も大きくなりますので税金面での考慮がとても大切になります。
不動産の譲渡所得税について
不動産を売却すると、売却金という利益を手にすることになります。その売却金は法律上「利益」となりますので、その金額に応じた税率で課税されます。
このような不動産を売却した利益に対する税金を「不動産譲渡所得税」といいます。
借金返済のための不動産売却でも原則課税対象となる
不動産譲渡所得税は、借金返済のための不動産売却であっても課税される税金です。
住宅ローンの返済はもちろんのこと、キャッシングの返済、カーローンの返済、税金や公共料金の支払いのための売却でも、原則として課税対象となります。
場合によっては借金返済はできたのに、翌年の税金で数百万円の請求がきた・・・。なんてことにもなりかねません。
非課税になる2つの特例
不動産売却にかかる不動産譲渡所得税は必ずしも全ての不動産売却益に課税されるわけではなく、借金返済のための売却であれば次の2つの特例が設けられています。
保証人としての借金返済の場合
不動産売却をして返済をする借金が、保証人として返済する借金であれば不動産譲渡所得税は非課税となります。 これは家族だけではなく他人の保証人でも同様で、事業経営者が会社の保証人となっているケースでも原則適用されます。
債務超過による強制換価手続きの執行が避けらられない場合
強制換価手続きとは・・・税金や公共料金、住宅ローン等の滞納が続いている状況で強制執行による競売や破産手続きのこと
債務超過とは・・・返済額が総資産を超えている状況のこと つまり、返済が滞っていてこのままだと強制執行による
財産の売却が避けられず、かつそれでも借金を返済しきれない場合(売却益が1円も手元に残らない場合)は譲渡所得税が非課税になるという特例です。 この特例は売却時点の経済的状況によって判断されます。そのため個人で判断することは難しく、実際の経済状況などを税理士に相談し総合的に判断・アドバイスをもらうようにしましょう。
課税対象でも実際に支払いがあることはほとんどない
不動産の譲渡所得税は原則的に全ての不動産売却に課税されるものですが、マイホームの売却には3,000万円の特別控除が用意されています。
3,000万円の特別控除の特例
3,000万円の特別控除の特例が適用されるのは「マイホームの売却」に限ります。
そのため、マイホームではない不動産を売却した場合には適用されません。 マイホームとはいわゆる居住用の不動産のことで、実際に住んでいる不動産であれば対象となります。ただし、控除を受けることを目的として入居した場合や、別荘等の娯楽のための不動産には適用されないため注意が必要です。
確定申告が必ず必要
この3,000万円の特別控除の特例は自動的に適用されるものではないため、特例を受けるためには必ず自分自身で確定申告を行いましょう。 その際「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」を一緒に添付する必要があります。
できるだけ税理士の先生にご依頼されることをお勧めしますが、ご自身で申告される場合は必ず国税庁のHPなどを確認して手続きに漏れがないように確認してください。
※アイビスホームではお客様のご希望があれば信頼できる税理士の先生のご紹介もしています。
不動産の売却はローン返済後しかできない!?
土地や住宅を購入する際、ほとんどの人が住宅ローンを利用して購入されます。その際、銀行等の借入先は「抵当権」と呼ばれる権利を有することが一般的です。(有担保ローン)
この抵当権が設定されている不動産は、自分のものとして自由に売却することができないため、次のうちのどれかの方法によりローンの完済、もしくは借入先に売却の許可をとる必要があります。
返済後に売却する
自己資金により残りのローンを全て完済できる場合は、先に完済をしてから売却をします。不動産の売却には時間がかかることが多いため、先に完済をしておくことで無駄な利子などを削減することができます。
売却益で返済する
借金返済のための不動産売却の場合、自己資金がないことがほとんどですので基本的には売却益で返済することになります。 この時、売却前にきちんと不動産の査定をしてもらい、売却金額がローンの残高よりも高くなるかどうかを確認しておきましょう。
また、ローンの残高は一括返済するタイミングによって利子分等が変わるため、返済合計金額が変わります。売却後に想像していていたローン残高と違った。なんてことがないように、必ず借入先に残高を確認するようにしましょう。
任意売却を申し入れる
ローン残高が売却益で完済できない場合、通常の住み替えであれば新たに「住み替えローン」などを組んで返済を続けることができますが、借金返済の売却の場合は売却自体が認められません。
あくまでも「抵当権の抹消が売却の条件」となりますので、自己資金と不動産の売却金額でローンの完済ができない場合は、自分の持ち家であっても売却することができないのです。
そのため、借金返済の場合は借入先である銀行等に「任意売却」を申し入れます。任意売却は借入先の許可を得て初めて売却できる方法で、競売よりも高く自由に売却することができます。
ただし、信用情報期間に事故履歴として残る点は競売と変わらないため、任意売却の利用については専門家と相談して慎重に決めるようにしましょう。
不動産の売却は必ず専門家に相談
借金返済のための売却であっても、住み替えの売却であっても、不動産の売却にはたくさんの専門知識が必要になります。また、借金返済のための売却の場合、必ずしも不動産の売却だけが手段ではない場合もあります。 日頃のお金の使い方や生活水準の見直し、不動産以外に処分できる財産の有無など、人それぞれ解決方法がことなります。
不動産の売却をしたことによって、税金の支払いなどにより余計に経済的に苦しくなることもありますので、必ず専門家に相談するようにしましょう。
アイビスホームでは不動産の売却はもちろんのこと、売却後のお客様の幸せにつながるご提案を心がけております。お金の心配、老後の心配、住まいの心配。なんでもお気軽にご相談ください。
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