不動産の売却をしようと思って不動産屋さんに相談した際「売買契約書はありますか?」と聞かれて、慌てて探したけど見つからない。どうしよう・・・。

アイビスホームでもご契約時(ご購入時)に需要な書類については必ず保管していただくようにお願いをしておりますが、引越しや大掃除など何かの拍子でなくされてしまい、ご相談のお電話をいただくことがあります。

今回はそんな不動産売却時に売買契約書がなかった時の対処法と、売買契約書がないことでどんな不利益があるのかをご紹介いたします。

今お困りのお客様も、不動産の購入をご検討されているお客様も契約時の書類の重要性について、是非参考にしてください(^^)

不動産は買うときも売るときもたくさんの書類が必要になります。どの書類も様々なトラブルや不利益からお客様を守るための書類ですので、権利書と同じように大切に保管しておきましょう!

不動産の売買契約書とは

売買契約書とは、土地や建物などの不動産を購入するときに、購入金額や支払い・取引方法などの契約内容を記した書類のことです。買主様・売主様はもちろんのこと、不動産屋さんが仲介した場合には不動産屋さんも書類に署名・捺印をします。

売買契約書には不動産の取引金額などが記載されており、不動産の売却や住み替え、ローンの乗り換えなどで必要になる書類ですので、権利書と一緒に大切に保管しておきましょう。

※新築で家を建てた場合には売買契約書ではなく「請負契約書」として契約内容を残します。

売買契約書を無くしてしまったらどうしたらいい?

売買契約書は売主様・買主様・仲介業者がそれぞれ保管している書類のため、買主様がなくされていたとしても他の方が保管していればコピーをもらうことで対応することができます。

また、再度売買契約書を作成し、それぞれ署名・捺印をもらうことで再発行をしてもらうことも可能です。

もし何らかの理由でコピーや再発行が難しい場合は、売買契約書の代わりになる書類を複数集めることで代用書類として認めてもらう方法があります。

優先①まずは購入時の不動産屋さん(仲介業者)に連絡

売却予定の不動産を購入(または仲介)した不動産屋さんでは、取引台帳については最低でも5年間の保管義務がありますが、それ以外の書類については保管の義務化はされていません。

そのため不動産屋さんに連絡をする前に諦めてしまうお客様もいるのですが、不動産屋さんでは取引上のトラブル防止のために、売買契約書などの書類を長く保管していることがあります。

不動産屋さんによっては20年以上書類を保管しているところもありますので、5年以上前に購入した不動産の場合でもまずは一度連絡をしてみましょう!

また、不動産屋さんが売主だった場合、売買契約書の再発行をお願いすることもできます。

※アイビスホームでは売買契約書に限らず重要事項説明書等についても全て保管しております。https://aibis-d.co.jp/day/1584/

優先②不動産屋さんと連絡が取れない場合は売主様に連絡

不動産屋さんと連絡が取れない(倒産など)場合や、不動産屋さんで対応をしてくれない場合は売主様に連絡をして売買契約書の再発行やコピーをお願いしてみましょう。

ただし、売主様からすると重要な売買契約書のコピーをいきなりお願いされると不審に感じる場合もあります。特に時間が経っている取引の場合は、お互いにうろ覚えな部分なども多くありますので、できるだけ不動産屋さんに対応をしてもらうようにしてください。

※売買契約書がどうしても手に入らない場合でも他の対策がありますので、くれぐれも売主様に迷惑のかかるようなお願いは控えましょう。

優先③購入した金額がわかる書類をたくさん集める

どうしても売買契約書のコピーの取得、再発行が難しい場合は代用書類として認めてもらうために、購入金額のわかる書類をできるだけ多く集めましょう。不動産の購入時の価格がわかるものには次の書類があげられます。

  • パンフレット
  • 領収書
  • 通帳の取引履歴
  • 住宅ローン借り入れ書類
  • 抵当権設定登記

ここでは「購入時の金額」がわかることが重要となりますので、抵当権設定登記などについては「債権額」が記載されている必要がなります。

相続不動産等の取得費用が全くわからない場合

相続した不動産などで取得費用について全く検討がつかない場合では「市街地価格指数」を元に取得費用を計算する方法があります。

市街地価格指数は全国主要都市で選定された宅地の調査地点について、日本不動産研究所の不動産鑑定士等が価格調査を行い、指数化したものです。

https://www.reinet.or.jp/?p=26209

ただし、この方法で取得費用を計算する場合は取得費用として認められないことも多くあります。あくまでも最終手段として税理士や不動産屋さんなど専門家に相談した上で、管轄の税務署にも確認をとるようにしましょう。

※物件購入時に売買契約書がない場合もあります

売買契約書は「不動産の売買」に関する契約書のため、新築時に「注文住宅」として、ハウスメーカーに住宅を建ててもらうための契約をした場合、売買契約書が最初からない場合もあります。

そのような場合売買契約書の代わりに「請負契約書」などの書類が発行されていますので、そちらの書類を提出するようにしましょう。

新築でも中古でも、建売でも注文住宅でも、不動産の取引に使用した書類はきちんと保管しておきましょう!

不動産の売却時に売買契約書が必要な理由

万が一不動産の売却時に売買契約書がなかったとしても、不動産の売却自体は可能です。

ただし、売買契約書がないと不動産の購入金額が明確ではないため、売却による損益(利益もしくは損失)にかかる税金で、不利益を生じる可能性があります。

確定申告では売却した不動産の取得費が必要

不動産を売却すると、金額にかかわらず不動産の売却による「損益」として翌年の確定申告で申告をする必要があります。

「損益」とは売却した金額から購入金額(取得費用)を差し引いた金額で、利益があればその分を追加で納税し、損失があれば他の所得税から還付される場合があります。

この損益を求めるためには不動産の売却金額と取得費用の両方が必要になるため、取得費用の証明書として売買契約書が必要になります。

売買契約書がないと取得費は「売却価格の5%」に!?

もし売買契約書がない場合(もしくは代用書類が認められない場合)、売却した不動産の取得費用は「売却金額の5%」として扱われます。

そのため、たとえ4,000万円で購入した不動産であっても、売却金額が1,000万円で売買契約書がないと50万円で取得した不動産とみなされます。

本来であれば3,000万円の損失が出ている取引ですが、売買契約書がないことによって税金の計算上は950万円の利益になると言うことです。

具体的な税金例

マイホームを売却した時の課税対象金額は次の計算で求めることができます。

売却金額 ー (取得費用 + 譲渡費用) ー 3,000万円

※居住用不動産を売却した場合は3,000万円の特別控除が適用されるため、3,000万円を引いて課税対象金額を求めます。

5,000万円で購入し3,500万円で売却した場合、売買契約書がある場合とない場合では課税対象金額に325万円の差が生じます。(仲介手数料等の譲渡費用は0円として計算)

売買契約書がある場合ない場合
課税対象3,500 – 5,000 – 3,000 = -4,500(損失)3,500 – (3,500 * 0.05) – 3,000 = 325(利益)
納税額損失のため0円約65万円(所得税 + 住民税)

売買契約書があれば損失となるため税金の支払いは必要ありませんが、売買契約書がないと325万円の利益となるため、約65万円の納税が必要となります。

※マイホームの売却には軽減税率の特例、買い替えの特例があるため、実際の納税金額とは異なる場合がございます。

ローンの乗り換え時にも売買契約書が必要

今回の記事では不動産の売却時をメインに紹介していますが、住み替えなどによる売却の場合はローンの乗り換えが必要になる場合もあります。

このようなローンの乗り換えの場合でも、銀行に購入金額を提出する必要があるので、売買契約書が必要になります。

一度売買契約書がない状態で確定申告すると訂正できない?

確定申告では「税額等の計算に誤りがあった場合」に更正の請求をして払い過ぎた税金を還付してもらうことができます。

ただし、売買契約書がない状態での申告(取得費用を5%で計算)した後に、後から売買契約書などが見つかり更正の請求をする場合、税金の計算の間違いではないため認められない可能性があります。

また、更正の請求は確定申告から5年以内となっています。

できる限り確定申告前に書類を用意し、万が一書類が集められない場合は税理士などの専門家に相談してから確定申告を行うようにしましょう。

不動産は買うのも売るのも不動産屋さん選びが重要

賃貸と違い、不動産の売買は買ったらそれで終わり。と考えるお客様も多くいらっしゃいますが、そんなことはありません。不動産の購入後も建物のメンテナンスや税金・相続問題など不動産に関わる悩み事はたくさん出てきます。

不動産に関わることでも、これって不動産に関係するかな?なんてことでも、気軽にいつでも相談できる不動産屋さんを選ぶことが不動産売買において何よりも重要です。

コロナ禍のように生活や働き方が大きく変わること、不況により職を失うこと、相続問題など、いつどこで不動産を手放す必要が出てくるかわかりません。今から不動産の購入を検討されている方、住み替えを検討されている方は、「今だけ」ではなく将来的にも相談しやすい担当者かどうかもチェックしてみてくださいね♪

アイビスホームでは不動産に関する相談はもちろんのこと、相続問題やお金の心配、老後の心配、住まいの心配など、なんでも気軽に相談できる「たよれる町の不動産屋さん」です。どんな些細な相談事でもお気軽にご相談ください。

※法律・税金の助言などについては法律上の制限があるため専門家の先生のご紹介になる場合がございます。