日本の離婚率は2019年の厚生労働省の調査によると、おおよそ35%。特に婚姻期間が5~9年と、20年以上の熟年夫婦の離婚率が高くなっているそうです。

一言に離婚といえど、それぞれのご家庭・ご夫婦に事情があり、前向きな離婚もたくさんあると思います。

今回の記事では、マイホームを持つご夫婦が離婚をされたときに、不動産という財産をどのように分与すればいいのか。について町の不動産屋さん目線で解説して行きたいと思います。

不動産の財産分与はローンが残っているかどうか、残額と売却額の差などを考慮しながら慎重に行う必要があります。不動産の価値は不動産屋さんに聞くのが一番ですので、不動産の財産分与については、一度不動産屋さんに相談に行くようにしてください。

離婚時の不動産の財産分与は現金化が一般的?

離婚時には、夫婦二人で築いた財産は2分割にして分けるのが原則。ただしこれはあくまでも「原則」なので、夫婦の話し合いの中で分与をしないこともあります。

もしも、できるだけ2分割をしようと思った時、現金であれば簡単に分割することはできますが、不動産のような「物」として存在する財産については分割が難しい場合もあります。

では、不動産のような財産の場合はどのようにして分割をするのがいいのでしょうか。

現金化して財産分与をする場合

分割する際に一番簡単なのは、所有している土地や建物などの不動産を売却して「現金化」することです。

一度現金化すれば、2分割する時でも比率を変える時でも柔軟に対応することができます。現金化による財産分与のメリットとデメリットを見て行きましょう。

メリット

一番のメリットは、比率に関係なく分与がしやすいこと。

不動産以外の共有財産(例えば貯金など)がある場合は、不動産と現金で分与をすることができます。

しかし、不動産しか共有財産がない場合や、不動産以外の共有財産が釣り合わない場合では、どうしても不動産を分割する必要があります。

デメリット

現金化しない場合であれば、どちらかはそのまま住み続けることができますが、現金化する場合は夫婦の二人がそれぞれ新居を用意する必要があります。

お互いに新しい道を進む。という面ではメリットとも取れますが、引っ越し費用や新居の用意にはそれなりのお金がかかりますので、金銭面での負担は大きくなります。

また、売却方法によっては現金化まで時間がかかってしまったり、予想していた金額で売却できない場合があります。

そのままどちらかが住み続ける場合

現金など、不動産以外の財産がある場合には片方が現金、片方が不動産。というような形で財産分与を行うこともあります。

このような場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

現金化しない場合では、マイホームをそのまま残せるということが一番のメリットになります。

マイホームにそのまま住み続けるということは、今までと生活の環境を変えずに生活ができるので、精神的・肉体的な負担を少しでも軽くすることにつながります。

特にお子様がいる場合では、引っ越しによって転校が必要になってしまうこともありますので、大人以上に生活の環境が変わるというのは負担が大きい場合も考えられますよね。

デメリット

デメリットとしては現金化するときよりも財産分与の話し合いが難しくなりやすいという点です。

不動産の価値は、不動産屋さんや不動産鑑定士によって評価額を出してもらうことが多いのですが、評価額と実際の現金化するときの金額にはどうしても差が出てきます。

また、不動産以外にも、不動産と同等の価値のある共有財産がないと2分割しての分与ができません。どうしてもどちらかに金額的な不利が生じるのがこの分与の方法ともいえます。

リースバックという方法も

現金化と不動産をそのままにする分与の両方の特徴を生かした「リースバック」という方法もあります。

これは一度売却したマイホームを、売却先の不動産屋さんから賃貸として借りることで、生活をそのままにできるという方法です。

対応している不動産屋さんが少ないことや、マイホームなのに「賃貸」として割り切る精神的な負担などもありますが、折衝案の一つとして選択肢に入れることも多くなってきています。

※どの場合でも「不動産の価値」を確認することが重要

どの方法での財産分与を行うにしても、とにかく大切なのは不動産の価値を正しく査定してもらうことです。

マイホームの評価額がわからなければ、分与するときにどれくらいの現金が必要なのか、現金化した時にどれくらいの取り分になるのかが判断がつきませんよね。

不動産の価値は建物の状態だけではなく、そのときの景気や地域の開発状況などによっても左右されます。現金化することで不動産の価値が下がることもあります。

不動産の査定は「不動産屋さん」もしくは「不動産鑑定士」に依頼をしましょう。不動産屋さんでは基本無料で査定してくれるところが多く、不動産鑑定士への依頼は数十万円の査定料がかかることがあります。

弊社アイビスホームでは、不動産の査定も財産分与についての相談も無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。

不動産の評価額とローン残高の関係性

不動産屋さん、もしくは不動産鑑定士に評価額を査定してもらった後は、分与について夫婦で話し合う必要があります。その際、ローン残高がどれくらい残っているのかによって、現金化するときの売却方法などが変わります。

不動産の評価額とは

まず、一言に不動産の評価額と言ってもさまざまな種類があり、同じ評価額でも金額が大きく異なることがあります。

ここでは詳しい説明は割愛させていただきますが、不動産を売却する時には売却するための評価額の取得が必要になります。そのため、固定資産税を支払うときの「固定資産税評価額」などをみて土地や不動産の価値を決めないようにしましょう。

また、不動産屋さんや不動産鑑定士による査定の場合も、あくまでも「査定」であり、売却する方法によっては売却金額が上下することがあることもあります。

【アンダーローン】評価額よりもローン残高が少ない場合

  • 評価額2,000万円
  • ローン残高1,500万円

このように評価額よりもローンの残高が少なくなっていることを「アンダーローン」と言い、現金化した時でもローンの残高を返済することができます。

アンダーローンの財産であれば、不動産の売却方法は「仲介」「買取」など、通常の不動産売却のようにある程度自由に選ぶことができます。

夫婦で分与するのは、売却した金額からローン残高の返済や諸経費を引いた、純粋な残りを折半するのが一般的です。

評価額(査定金額)と実際の売却金額は、売却方法によっても大きくかわることがあります。アンダーローンの場合でも評価額とローン残高がほとんど同じ場合では、売却後に実費でローン残高の返済が必要になる場合があるので注意しましょう。

【オーバーローン】評価額よりもローン残高が多い場合

  • 評価額1,000万円
  • ローン残高1,500万円

このように評価額よりもローンの残高が多い場合のことを「オーバーローン」といい、売却後にローンの返済だけが残ります。

通常、住宅ローンを組む場合は抵当権が設定されているので、不動産が担保になっています。抵当権がある場合は自分の家であっても自由に売却することができないので、このオーバーローンの状態では売却することができません。

一括で残りのローンを返済できればいいのですが、通常は「任意売却」という方法で売却を行います。

任意売却とは

任意売却とは、銀行などのローンの借入先に申請をし、ローンの残高が残った状態での売却許可をもらう方法です。

手続きには専門的な知識や、不動産の価値についての説明などが必要になりますので、必ず不動産屋さんなどの専門家を通して手続きをするようにしましょう。

離婚時の財産分与は「仲介」「買取」のどちらがいい?

不動産の売却方法には大きく「仲介」と「買取」がありますが、離婚時の財産分与の場合はどちらの売却方法が向いているのでしょうか。

「仲介」がおすすめできる場合

仲介での売却は「時間がかかってもいいからできるだけ高く売りたい」というときにおすすめです。

売りに出す金額も売主様ご自身で決めることができるので、査定額をもとに不動産屋さんと相談して売却金額を決めることができます。

ただし、あまりにも相場から離れた金額で売りに出してしまうと、最終的に買取よりも安い金額での売却になることもありますので注意しましょう。

売却する不動産や、売却タイミングなどにもよりますが、一般的には買取よりも3割程度高く売れることが多い売却方法です。

「買取」がおすすめできる場合

買取での売却は「すぐにでも現金化したい」というときにおすすめで、離婚時の財産分与であればなるべく早く解決したいことが多く、買取を希望される方が多くいらっしゃいます。

また、引き渡し前のクリーニングやリフォームなども必要ないので、面倒な手続きもなく現金化までがスピーディーでわかりやすいのが特徴です。

不動産屋さんによっては、買取後の販売経路の確保ができていないために、買取金額が相場よりも安くなることもあります。複数社に見積もりを依頼し、金額とアフターフォローの内容もしっかりと検討しましょう。

アイビスホームなら「アイビス式買取」で早く高く売却可能

アイビスホームでは、ご来店していただいたお客様限定で「アイビス式買取」をご案内しております。

このアイビス式買取は、仲介と同様の売却金額と、買取と同様の売却スピードを提供する、弊社独自の買取方法です。独自システムのため、ご来店のお客様限定でご紹介させていただいております。

「買取だと金額が少なすぎて・・・」

「仲介だと時間がかかりすぎる!」

そんなお客様は是非一度ご来店ください(^^)

財産分与の流れ

財産分与の方法や、不動産の売却方法について分かったところで、次に実際の財産分与の流れについて見ていきましょう。

ここでは一般的な財産分与の流れをご紹介しております。

①不動産の名義人の確認

財産分与では分与対象となる不動産の名義人の確認を最初に行います。

一般的には夫名義になっていることが多いのですが、税金対策のために夫婦共有の名義になっていることもあります。名義人を確認する為には法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得しましょう。

単独の名義(夫または妻)であれば、売却の手続きなどについても一人の意志で行うことができますが、共有名義になっている場合は二人の同意が必要になります。また、どちらかが住み続ける場合であれば、名義変更の手続きなども必要になるので、名義人を確認することが必要になるということです。

②ローン契約者と残高の確認

多くの場合は不動産の名義人と、ローンの名義人が同じになっていますが、借入総額の問題などからローンだけは夫婦の名義になっていたり、逆のパターンもあります。

また、ローン契約者は夫の単独でも、妻が連帯保証人になっていると、妻にも夫と同じだけの返済義務があることになるので注意が必要です。

ローン契約者や連帯保証人については、契約時の書類や契約先の金融機関に問い合わせて確認をしておきましょう。(残高の確認を忘れずに!)

③不動産価値の調査(査定)

不動産価値の査定は「不動産屋さん」もしくは「不動産鑑定士」に依頼をします。

不動産鑑定士はあまり聞きなれないと思いますが、不動産屋さんのように不動産の取引を前提とした査定ではなく、不動産そのものの価値を査定してくれるのが不動産鑑定士です。

不動産屋さんとの交渉などのために査定を依頼することもありますが、査定費用が高額(3,000万円の不動産で60万円程度)になりますので、よほど高額な不動産を所有しているとき以外は、不動産屋さんに査定依頼をされることをお勧めします。

査定を依頼するときは、必ず「訪問査定」と呼ばれる実際に物件を見て査定をしてもらう必要があります。そのため、一括査定サイトで出された見積もりだけを基準にせず、直接不動産屋さんに依頼をして査定をしてもらうようにしましょう。

④ご夫婦での話し合い

ローンの残高と査定結果が出たら、それをもとに夫婦でどのように分割をするのか話し合います。

もしローン残高が査定額を上回るオーバーローンであれば、売却が難しいのでどちらかがそのまま住み続けるという選択肢も出てくるかもしれません。その際、名義変更が必要になるのか、各種手続きにどれくらいの費用がかかるのかなどについても話し合いが必要になります。

アイビスホームにご相談いたいだいた際は、各種手続きに必要な諸費用などについてもきちんとご説明させていただきますので、ご安心ください。

⑤財産分与調停の申し立て

ご夫婦で話し合いをしただけでは、口約束となり、あとからさまざまなトラブルにつながることもあります。

名義変更等の手続きがきちんとされていないままでは、固定資産税の支払いや、子供への相続の時に予期せぬトラブルにつながることも・・・。

離婚時の財産分与の場合は「財産分与調停」を行うことで、正式な書面として残すことができるので、後からのトラブル防止にもなります。

第三者を挟んだ話し合いがお互いの為に

「離婚」というマイナスな話を周りの人に相談するのは、気が引けることもあると思いますが、今後のお二人のためにも、第三者を挟んだ話し合いが大切になります。

特に財産についての話し合いの場合は、これからの生活の基盤に直接影響がありますので、特に注意して話し合いを進めましょう。

アイビスホームでは不動産の査定だけではなく、売却後のお二人の生活も考えてアドバイスをさせていただきます。必要な場合は税理士・弁護士の先生のご紹介もいたしますので、お気軽にご相談にお越しください。