マイホーム購入を考えるとき、必ずといっていいほど悩むのが「建売住宅」と「注文住宅」のどちらを選ぶかです。どちらも魅力的ですが、それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあるため、選択は簡単ではありません。

この記事では、建売住宅と注文住宅の違いを明確にし、どちらが自分に合っているかを判断するためのポイントを解説します。

建売住宅とは？

建売住宅は、ハウスメーカーや不動産会社が土地を購入し、あらかじめ建設された完成済みの住宅を販売するものです。土地と建物がセットで販売されるため、物件を購入した後、比較的短期間で入居できるのが特徴です。

建売住宅のメリット

建物と土地がセットで販売されている建売住宅には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

コストパフォーマンスの良さ

建売住宅は、規格化された設計や大量発注によるコスト削減のメリットがあり、注文住宅に比べて価格が抑えられる傾向にあります。

建売住宅というと「品質が低い」と思っている人も多いのですが、実際は注文住宅よりもコスパよく、基本的な耐震や断熱性能も十分確保されているため、費用対効果が高い点が大きな魅力です。

また、想定外のコストが発生しにくいことも資金計画を立てやすいポイントです。

立地条件の良さ

建売住宅は、デベロッパーが一括で土地を取得するケースが多く、駅に近い場所や周辺施設が整った地域に建てられることが多いです。

特に都市部や利便性の高い地域では、注文住宅で好立地の土地を見つけることが難しいため、立地を重視する人には建売住宅が有利です。

駅近だけではなく、大分譲地などの場合は学校の近くや商業施設、主要道路などとも近い立地にできたり、大分譲地に合わせて近くの地域が開発されるなど、注文住宅では手に入れることが難しいメリットもあります。

入居までのスピードが速い

建売住宅は完成済みで販売されるため、購入手続きを済ませればすぐに入居できます。

長期にわたる打ち合わせや設計の手間がかからないため、共働きで忙しい家庭や、すぐに引っ越しをしたい方には最適ですね。もちろん実際に内覧して決めることができるので、実際の家の雰囲気や設備を確認しやすい点も安心材料になります。

注文住宅の場合は想像していたよりも狭くて使いにくい・・・。なんてことも多いので、実際に内見できるというのは大きな魅力の一つです。

また、ハウスメーカーにもよりますが、まだ施工前の段階で購入を決めると、建売でもある程度間取りを選べたり設備を選ぶことができることもあります。

建売住宅のデメリット

それでは、逆のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

自由度が低い

基本的に建売住宅で使われる設備系のものは、ハウスメーカーが一括で仕入れているものを利用するため、間取り以外の設備（トイレやキッチンなど）も統一されていて、自由度や独自性はありません。

間取りという側面でも注文住宅のように自由にというわけにはいきませんが、建売住宅の設計はその時代にあったトレンドを取り入れつつ、長く住めるように設計されているのでとても住みやすい間取りになっています。

また、スケルトンインフィル構造の建売住宅を選んでおくことで、将来的に間取りの変更が必要になった時に自由な間取り設計でリフォームすることができます。

デザインが似通うことが多い

間取りや設備だけではなく、外観も似たようなデザインになることが多く、独自性を求める方にとっては、建売住宅では物足りなく感じるかもしれません。

特に数区画まとめて開発されているような場合にはお隣さんと外観がにてしまうこともあります。

建売では外構もある程度綺麗に（アスファルト舗装など）されていますが、ガーデニングや置物などでそれぞれのご家庭の個性を出してみましょう。

注文住宅とは？

注文住宅は、土地を購入した後、施主（購入者）が設計事務所やハウスメーカーと相談し、一から設計・建設を行う住宅です。間取りや外観、使用する素材まで、細かい点まで自分の希望を反映させることができます。

注文住宅のメリット

時間をかけて自由な間取り設計ができるという印象の注文住宅には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

自由度の高さと個性の実現

注文住宅の最大のメリットは、自由に設計を決められる点です。

家族構成や生活スタイルに合わせた間取りや機能を盛り込むことで、家族全員が快適に過ごせる空間が実現します。

また、オリジナリティを追求したデザインや、こだわりのある素材を選択できるため、他にはない「自分たちだけの家」が作れるのも魅力です。

将来を見据えた設計が可能

生活スタイルや将来のライフプランに合わせた設計ができるため、家族の成長やライフスタイルの変化に対応しやすい家づくりが可能です。例えば、将来的に家族が増えることを見越して部屋を追加できるように設計する、バリアフリーにしておくなど、長期的な視点での設計ができます。

注文住宅のデメリット

メリットだけ見るととてもよく見える注文住宅ですが、しっかりとデメリットにも目を向けてみましょう。

費用が高くなりやすい

自由度が高い分、こだわりが増えれば増えるほど、費用もかさむ傾向にあります。建築途中での設計変更や、素材や設備の追加選択によって、予算が当初の見積もりを超えることも珍しくありません。

そのため、こだわりを反映させるための十分な資金計画が必要です。

また、打ち合わせが長期的になることも多く、その間の仕事や家族で使う時間などを打ち合わせに充てることになり、施工に着手するまでに精神的に疲れてしまう方も多くいらっしゃいます。

思ったよりも自由度が低い

注文住宅の一番のメリットは「自由度の高さ」ですが、あくまでも建築物なので構造的な問題、資金的な問題から実はそこまで自由に設計ができない。ということも多くあります。

例えばリビングの広さ。

木造で建てる場合はどうしても柱間の距離に限界があるので、芸能人が住むような30帖超えのリビングを作ろうとすると、所々に柱を設置する必要があります。

現実的には20帖程度が限度ですが、建売でも18帖ほどのLDKの物件は多くあります。

引越しまでの期間が長い

注文住宅は設計から建築まで時間がかかるため、入居までに通常6か月〜1年ほどの時間がかかります。忙しい生活の中で打ち合わせや確認作業を繰り返す必要があり、共働きのご家庭や引越しを急いでいる場合には負担が大きくなる可能性があります。

土地探しが必要

注文住宅を建てる場合には、まず希望条件に合う土地を見つけるところから始める必要があります。特に、都市部では好条件の土地が少ないため、予算内で希望通りの土地を見つけるのが難しいことがあります。

また、土地によっては建物への制限があったり、地盤調査によって地盤の補強が必要になるため、予想外の出費が増えることもあります。

建売住宅と注文住宅、どちらがいいか？

建売住宅と注文住宅は、予算やライフスタイル、家族構成などによって選ぶべきポイントが異なります。それぞれの特徴を踏まえた上で、以下のような点を考慮して自分に合う方を選ぶと良いでしょう。

建売住宅が向いているのはこんな方

コストを抑えて手早くマイホームが欲しい方：建売住宅は価格が比較的手頃で、契約後すぐに入居が可能です。初期費用を抑え、資金計画を立てやすい点が魅力です。
利便性の良い立地を重視する方：駅に近い場所や、周辺環境が整った場所にある住宅を希望する場合、建売住宅は好条件の立地が選びやすいです。
デザインや間取りに強いこだわりがない方：デザインや間取りがあらかじめ決まっているため、シンプルな住環境を希望する方に適しています。

注文住宅が向いているのはこんな方

資金力に十分な余裕のある方：計画段階で必要資金が膨らむことが多くあるので、資金力にはかなりの余裕が必要になります。
家づくりにこだわりがある方：間取りやデザイン、素材まで細かく選びたい方には、注文住宅が最適です。ライフスタイルや将来のプランに合わせて、オリジナルの家を作ることができます。
将来的な変化を見据えて計画したい方：家族が増えたり、生活スタイルが変化しても対応できる設計ができるため、長期的に住み続ける予定の方に向いています。
自然素材や最新の設備を求める方：健康に配慮した自然素材やエコ設備を取り入れることで、環境に優しい住まいが実現できます。