放置空き家の雑草、他人事じゃない?|話題の除草トラブルから考える管理と売却の重要性

蒸し暑い日が多くなり、これから夏本番を迎えようとするこの季節。
親からの相続で空き家を持っている方、これから空き家になる可能性がある方にとっては、空き家の管理(特に雑草問題)について頭をかかえる季節ですよね。
アイビスホームでは以前「ビッグモーターの除草剤がバカ売れする恐ろしさ」というブログを投稿したところ、毎年この季節になるとアクセスが集中していて、世の中の除草剤の注目度を毎年感じています。
そこで今回は「空き家の雑草問題」について、除草剤の正しい使い方とともにご紹介をしていきます。
空き家の放置が引き起こす「雑草リスク」
日本国内の空き家率は2023年10月1日の時点で13.8%と言われ、年々増加傾向にあると言われています。
少子高齢化や人口減が進んでいることからも、空き家が増えていくのは仕方のないことかもしれません。
この記事を通して、まだまだ価値のある中古物件が放置されることで価値をなくしていく、それどころか相続した人の財産を食い潰していくような状況に少しでも役に立っていただければと思います。
空き家率が高くなることも問題ではありますが、最も問題なのは「放置」されるということ。日本の住宅は世界的にみても耐震性に優れていて、その技術も日々進化しています。
築20年もすれば見た目には少し古く見えるかもしれませんが、きちんとメンテナンスをしていけばそこから30年以上住むこともできます。
それでも放置されてしまうのは放置されるというリスクを考えない。今までそのようなリスクを考えるような社会ではなかったことが主な原因ではないでしょうか・
見た目の悪化だけでは済まない雑草の影響
では、空き家を放置するとどのようなリスクがあるのでしょうか?
法律的な問題は後述するとして、一番早くわかりやすい影響は「雑草」が生い茂っていくことです。
「今住んでいるところは草取りしてないのに周りに影響出るほど草生えてないよ?」
そんな声も聞こえてきそうですが、「人が住んでいるところ」と空き家では雑草の生え方も成長速度も全然違います。
定期的な草取りやメンテナンスをしていなくても、人が常に出入りしているところは車や人が通ることで土が固められて雑草が生えにくくなっていたり、生えてきた雑草も潰されることによって成長が妨げられるので雑草も生えにくくなります。
森林の中でも獣の通り道は獣道として自然に道ができていくのと同じですね。
逆に人がいなくなると抑制するものが何も無くなるので、一気に雑草は増えていきます。
雑草が増えると・・・
- 見た目・近隣の印象・治安への影響
- 実際に空き家の草が隣家に入り込むトラブル
- 害虫(ゴキブリ・ハチ・カメムシなど)の増加
- 害虫を食べにカエル・ヘビなどの増加
- 害獣(カラス・ネズミ・ハクビシンなど)が住み着く
- 建物にも影響が出てくる
のように、近隣への影響や建物への被害にも繋がります。
行政指導や損害請求の対象になるケースも
令和5年に空家法が改正され、特定空家予備軍の空き家も所有者への指導や税負担の軽減措置がなくなるなどといった指導対象になるようになりました。
空き家対策特別措置法による「管理不全空家」指定
これまでは特定空家(倒壊等の恐れのある状態)になるまでは特に罰則等もなかったのですが、令和5年の空家法改正により、市区町村からの指導(除草命令など)に従わない場合、管理不全空家に指定され、固定資産税が今までの3~6倍になる可能性があります。
これは固定資産税が値上がりするのではなく、住宅用地特例として軽減されていた措置がなくなるということです。
※通常、200㎡以下の住宅は小規模住宅用地としては1/6に固定資産税が軽減されています。
近隣からの損害賠償請求事例も
行政指導だけで済めばいいのですが、あまりにも放置が進むと害虫や害獣の温床になり、近隣住宅への被害も大きくなります。
近くに住んでいる場合であればこのような状況になる前に気づくことができますが、遠方に住んでいる場合は気づくことができずに、最悪の状況になっていることにも気づかず、近隣の方のからの損害賠償請求で初めて事態を把握した。ということもあります。
雑草による資産価値の低下と売却への悪影響
雑草が生えている。というだけでは特に売却価格への影響などはなく、除草を行う事で現況回復して適切な価格での販売が可能です。
ただし、半年以上放置していると雑草より先の影響(害虫・害獣など)もあるため、売却価格への影響はもちろんのこと、回復にかかる費用なども多くかかる場合があります。
内見で“外観の印象”が悪いと売れにくくなる
もし物件の売却を検討する場合、内見予定がある1週間前くらいには除草作業をしておきましょう。
前日の除草作業の場合、予定より時間がかかって終わらない。というケースや、除草してみたらそれ以外の問題点が見つかった。ということも考えられます。
また、明らかに昨日除草しました。というような状態(草の匂いが強く残っている、除草された葉の根が新しいなど)だと、いつもは管理がされていないのかな?という印象を与えてしまう可能性もあります。
雑草が理由で「訳あり物件」扱いになるリスクも
例えば放置された畑の場合、2年以上放置すると松などの木が生えてくると言われています。
放置空き家の庭に雑草ではなく木が生えてきてしまうと、回復するためには除草だけではなく抜根作業も必要になり、重機の投入など大掛かりな作業が必要になるケースもあります。
通常の物件のように取り扱うことが難しい場合、「訳あり物件」として売り出す必要が出てくるリスクもあります。
空き家に対する具体的な除草・管理の方法
では具体的にどのようなメンテナンスを行なっていけば、このようなリスクを回避することができるのでしょうか?
定期的な手入れ or 管理代行サービスの活用
理想としてはお金をかけずに自分たちでできる手入れを続けていくこと。
メンテナンスの頻度としてはできるだけ実際に人が住んでいる時と同じ環境にしておくことが理想です。
週1回、最低でも月に2回は風通しをする。夏場は週1(最低月2回)の除草作業を行う。水道を生かしている場合は水洗トイレやお風呂など定期的に水を流す。など、思っている以上に頻繁に空き家に訪れる必要があります。
遠方に住んでいる場合、そんなに高頻度でいくことができないので管理代行サービスを使うこともあると思います。
多くの代行業者で月1回のプランがありますが、月1回だと不十分になることも多いため、あくまでも売却活動と同時に利用する場合のみ月1でもOKと考えておきましょう。
雑草対策の選択肢(防草シート・砂利・舗装など)
初期費用はかかりますが、空き家になると分かった時点でしっかりと除草作業をして、防草シートを設置する、砂利や舗装を検討する場合もあります。
砂利を入れたり舗装をするのは費用的にも負担が大きいことと、売却時にマイナスに働く可能性(回復がむずかしい)もあるので、おすすめは防草シートの設置です。
ホームセンターなどでも手軽に購入できますが、安いものだと耐用年数が少なくすぐにダメになってしまうこともあります。
すぐに売却活動をするのか、数年単位で活用方法を検討するのかによって、適切な防草シートを選ぶようにしましょう。
根本解決には「売却」という選択肢もある
不動産屋さんのポジショントーク。にも聞こえてしまうと思いますが、空き家については基本的に早い売却をおすすめしています。
ご実家の相続の場合は、どうしても思い出などがあるのでできるだけ残したい。というお気持ちもわかるのですが、住んでいる距離が遠いほど適切な管理・メンテナンスにはコストと時間がかかります。
放置よりも“今売る”が有利な理由
最初の1年目はご実家で過ごした日々を思い出しながら、家族兄弟で楽しく作業できたとしても、2年目3年目と徐々に参加できる人も減り、メンテナンスが大変なものに変わっていくことがあります。
それが続くと楽しかった思い出よりも維持にかかるコストや時間、除草などの大変さの方が強く記憶に残ってしまい、売却する時にはあまりいい思い出が残っていない。なんてことも・・・。
もちろん今すぐに売却した方が5年後よりも高く売れる可能性も高いのですが、大切なご実家の場合、金額よりもいい思い出のまま次の方に繋いでいくことをお勧めしています。
アイビスホームでできる空き家サポートサービスについて
アイビスホームでは空き家の管理サポートなどはしておりませんが、空き家の無料査定、適切な販売方法、これからの活用方法についてのご相談をいつでも無料で何度でもご利用可能です。
また、地域密着35年以上の経験から、相続や法律が絡んだ難しい空き家の売却もOK。過去重大クレーム0件で、円滑円満なお取引が可能です。
他社でお断りされてしまった物件、0円査定の物件、今はまだ残しておきたい気持ちもあるけど具体的にどれくらいの管理コストを考えればいいのか?などのご相談、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
お気軽に『窪多』まで